山坂達者講座で八ヶ岳を歩き日本を思う
約4ヶ月前から始まった香港のデモは、終結の兆しが見えない状況である。
デモの発端は、当局が中国本土へ容疑者の引渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改定案を成立させようとしたことであった。
この「逃亡犯条例」については、いったん取り下げになったが、これ以外にも以下の4点の要求が出されている。
・警察と政府の、市民活動を「暴動」とする見解の撤回
・デモ参加者の逮捕、起訴の中止
・警察の暴力的制圧の責任追及と外部調査実施
・林鄭月娥の辞任と民主的選挙の実現
このデモに対して、当局は、催涙弾の使用、デモ参加者の逮捕、そして先日の中華人民共和国建国記念日には、青年にむけて銃を発射し過激さを増している。
デモに参加をしている人の年齢は全般的に若く、香港が中国に一国二制度として返還される前の記憶が少ない、またはその後に産まれた人達である。
彼らは、インターネットで中共の現状を調べ、このまま何もせず時間を過ごし「香港」が中共の一部となるなるのではなく、支配されない「香港」を残したいとの思いが強く働き、デモに参加していているものと私は感じている。
彼らは、警官の棍棒、催涙弾、銃に立ち向かい戦っている。人の人生は、自ら何を背負っていくかによってその重さが異なってくる。
香港の青年達が選択したのは、共産政権に立ち向かい個人の尊厳を守ることを背負うことである。
現在の中共は、一党独裁政権での経済力を武器に、なりふり構わず世界中で、理不尽な外交を展開している。
東アジアでは、香港での中共の蛮行のみならず、台湾では昨年の総選挙で中共がネット介入をし中共寄りの議員が多数当選するなどしており、来年1月には、今後の台湾を大きく左右する総統選が行われるがその情報戦がすでに始まっている。
香港、台湾で起こっていることが、近い将来、日本に迫って来ないとも言えない状況であるにも関わらず、日本では青年に限らず、責任ある行動を取らねばならない人達までも、「平和ボケ」に浸りあまりにも無関心に見える。
何を背負って生きればいいのか分からないのであろう。
今回の山坂達者講座で八ヶ岳を縦走し、「同じ道でも背負う荷により、歩みがまったく違う」ことを実感し、現在進行中の香港のこと、台湾のこと、そして少しでも日本を背負うにしてもあまりにも多くのことがある現状を振返る機会を得ることが出来た。
山を登る度に人の生き方との繋がりを感じている。
去稚敬天塾 事務局長
吉川貴志
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