心が錆びないために必要な一日
一昨日、吉川事務局長と比良の自然を愉しみました。
JR近江高島駅前からバスに乗車、ガリバー旅行村で下車。新緑に挨拶をしながら八ツ淵の登山道へと入りました。久し振りに大摺鉢との対面、今年は降雪量が多かったので、かなりの水量を想像していましたが、否、水面が岩に残る水の線より随分下方に離れており、10年前にここで泳いだことを懐かしく思いました。小摺鉢の横を慎重に通り過ぎ、最大の見せ場へと、30mの貴船の滝が目に飛び込んで来ると感動が蘇ります。新緑の間から絶え間なく落ちる大量の水は、切り立った巨大な岩にぶつかり、生命の気を拡散しています。岸壁に囲まれたこの空間では、霧状の水も虹のプリズムも神秘的に思え、荘厳な絵巻の中に身を置いている感覚さえ齎されます。この先、七遍返しの滝では、新緑がその鮮やかさを増して、滝とともに自然の景観を最高のものへと形成しています。岩場、鎖、梯子、渡渉と緊張感を維持しながら、自然の美を存分に愉しみました。
七遍返しの淵を過ぎ、緩やかな沢で、おにぎりとカップラーメン、きゅうりの浅漬け、インスタントコーヒーを新鮮な空気とともに食しました。自然が何よりの御馳走です。これから先は、沢と別れて、尾根伝いに高度を上げて行きます。途中、八雲ヶ原を尻目に林の中を進むと、再び沢に合流。この沢は鉄分を含んだ赤茶けた色をしており、八ツ淵の透き通った沢(甘く柔らかな水)とは、その性質を全く異にしています。景観の変化を愉しみつつ、武奈ヶ岳の頂上に到着。ここは360度パノラマ、琵琶湖がくっきり見え、今年5月の連休に縦走した蓬莱山から蛇谷ヶ峰を眺め、上り下りを繰り返しながら長き道を往く様を人生に重ねていました。
帰路は、スキー場跡を八雲ヶ原へと降下、湿原でイモリの群れと水面に浮かび上がっている油に目を奪われ、自然が呼吸をしているような不思議な感覚を覚えました。ここから金糞峠までの林間コースは、水面と川底がくっついた様な澄み切った沢を横目に、穏やかな道が続き、比良の奥の深さを感じさせます。金糞峠からは、青ガレ(青みがかった石のガレ場)を細心の注意を払って下ります。そこには、筋力の衰えを忘れないようにという自戒を込めています。青ガレを下り切った後は、JR比良駅まで只管歩きます。今回は、のんびりと比良の多様な自然に触れ、改めてその魅力に感動し、心が錆びないために必要な一日でありました。(新大阪にて乾杯!)
「 若葉青いの香する よく晴れた日の夕暮れに 砂とたわむるわらべたち 明日もまた来る さようなら」(仁平詩集より「わらべたち」)
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