地球の躍動と清流に向き合う!そして、猫との触れ合い?

【行程】
1日目(7月16日(土))
【JR和泉砂川駅出発】(9時)
→道の駅すさみ到着(10時30分)→【昼食】→道の駅すさみ出発(11時)
→古座川・一枚岩到着(12時10分)→【河遊び】→一枚岩出発(13時10分)
→きよもん湯到着(13時50分)→【入浴】→きよもん湯出発(14時40分)
→【熊野速玉大社参拝】(15時20分)
→オークワ新宮仲之町店到着(15時50分)→【夕食買い物】→オークワ新宮仲之町店出発(16時50分)
→【縁場せいじら到着】(19時)→【宿泊】

2日目(7月17日(日))
【縁場せいじら出発】(6時10分)
→【JR尾鷲駅】(6時30分)
→新鹿海水浴場到着(7時10分)→【海水浴】→新鹿海水浴場出発(8時50分)
→道の駅海山到着(9時20分)→【朝食】→道の駅海山出発(9時55分)
→権兵衛の里到着(10時05分)→【河遊び】→権兵衛の里出発(12時10分)
→魚飛渓到着(12時20分)→【散策】→魚飛渓出発(12時35分)
→道の駅海山到着(12時45分)→【昼食】→道の駅海山出発(13時10分)
→山鳩湯到着(15時40分)→【入浴】→山鳩湯出発(16時30分)
→下市口到着(17時20分)→【夕食】→出発(17時45分)
→【近鉄下市口駅到着】(17時50分)

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一日目 【古座川での鍛錬】参加者:吉川事務局長、高山塾生、三木塾長

 古座川の一枚岩、それは、断崖絶壁に張り付いたような岩板。※ 滑り落ちそうになりながらも辛うじてしがみついている緑草を所々に着飾る焦げ茶色の巨大な自然の芸術。この超巨大な一枚岩を観た瞬間、誰もが驚愕するに違いない。遠く肉眼をパノラマ状態にするも全容を収めることは出来ない。圧巻である。さぞかし観光客で賑わっていると思いきや、人の姿はポツリ、ポツリと、声もなく、辺りは静流に包まれており、その静けさが異彩を放つ景勝地をより幻想的にしている。この大自然に感動しつつ、一講目が始まる。
 ※ 実際には、冷え固まったマグマの塊が、大地の隆起によって地表に現れ、川に侵食されて、一面の岩壁となった。(古座川町の案内板より)
 一枚岩の裾を流れる川に足を踏み入れると、透き通った水が鋭く身体を下流へと押し流そうとする。川の向こう岸へと向かうが、五、六歩先からは、遅々として進まない。右脚で踏ん張りながら左脚を前に出そうとするが、片脚でバランスを保つのが思いのほか難しい。上流からの水勢が容赦なく身体を引き倒そうとする。こちらも負けてはならぬと全神経を脚に集中させる。時間にすれば、片脚の状態は、短いものだが、その動作は、心構えからすでに始まっており、一歩に費やす時間は長い。川の中央に近づこうとするが、厳しい清流が拒絶する。脚を取られると、何処まで流されるか、予想できない。溺れる可能性も高い。自然と接することは、命がけではあるが、無謀な行動は、自然に対する冒涜である。限界の二歩手前で退去するのが賢明である。元の岸へと戻ることも容易ではない。往路と同じことを復路でも繰り返さなければならない。一講目は、気合とともに脚の鍛錬に有効である。
 一旦、上陸するや否や、アクアシューズのゴム底が劣化によりパカッと外れて、直接川の石の感触を味わうことになった。事前の点検を怠った罰である。その後、Tシャツを脱ぎ、再び川に入る。今度は、身体全身で水流を受け留める。仰向けになり、やや首を起こし、下流方向の一枚岩に目を向ける。対岸から眺める光景とは、趣を異にし、神々しく感じる。この位置で、身体を反転させて、四つん這いになり、上流へとすり上がる。気分は、身体を低くして獲物を狙うネコ科の野生動物であるが、実際、流されまいと必死である。二講目は、全身の鍛錬となる。自然の力の限りなく無に近いほんの一端に接することにより、人の存在のちっぽけさと自然の偉大さを識る。原始的な川遊びは哲学である。勿論やり始めるときに理屈がある訳ではない。終わった後で理屈をつけている。その理屈が感性に繋がる。この講座の魅力は、とにかく、自然に身を置くこと。そのとき、感じたことが学びである。
 川で全身が冷えた後は、那智勝浦町湯川のきよもん湯に直行。館内は、すでに硫黄の匂いが流れており、浴室では、その濃度を増していた。湯はぬるぬるしており、少し浸かっただけで肌がツルツルする。ここは、源泉かけ流しの名湯である。
 その後、熊野三山の熊野速玉大社を参詣した。当塾にとって、神社は格別の存在である。
 この日の宿は、「縁場せいじら」(ゲストハウス)であり、われわれを含めて、三組の宿泊客がいる。途中のスーパーマーケットで買った食材を炒めて、刺身とともに食卓に並べた。この宿には、身体のでかい二匹の猫がいて、一匹の黒猫が食事を求めて、私の所にやって来た。マグロの刺身を細かくち

ぎって、紙皿に載せると、うまそうに食べる。さらに、持参したチュールを差し出すと、食いつきが速く、目を細めながら食べた。それを食べ終わると、食卓にある「鰹のたたき」が気になるようで、食卓に左手を掛けて、右手でそれを取ろうとしたので、これも細かくちぎって、紙皿に載せて提供した。猫好きにとっては、楽しいひと時である。われわれも満腹になり、無事一日目を終え、就寝した。


二日目 【銚子川に観た日本の美】参加者:吉川事務局長、三木塾長

 




 青空のもと、早朝、宿を出発。高山塾生を尾鷲駅で見送り、新鹿(あたしか)海水浴場にて遊泳する。7時前とあって、客はまばらであった。砂浜と海との境にある段差は、外海から直接やって来る強い波の勢いによってできているのであろう。海水浴場で初めて観る現象である。いざ、海へ。何もない所で、自由気ままに泳ぐことが出来、市民プールから解放されて、伸び伸びと水泳を楽しむ心地よさを味わう。沖へと流されぬよう、砂浜を視認しながら、時折、自分の位置を確認する。海水の冷たさに身が引き締まる。一度、上陸、休憩をはさんで再び海へ。静かな早朝の透き通った海で全身運動を行い、その後、道の駅で朝食を取り、銚子川へ向かう。
 日本有数の清流とあって、銚子川は、多くの人で賑わっていた。浅い箇所を横切り向こう岸へと渡るのも一苦労である。水勢に倒されまいと踏ん張りながら水流と垂直に進んで行く。渡り終えると、少し下流へと移動。再び川に入る。岩盤が川底まで続いている。透明度は、頗る高く、深場でも川底が間近に見える。子どもが崖っぷちから飛び込んでいる。潜って川底に達するのは容易ではない。魚にとっても、この水は美味しいのであろう。其処彼処に魚が遊泳している。とりわけ、崖に連なる水中の岩盤が美しく、常に清流によって、洗われており、陸上では観えぬ自然の芸術となっている。間断なく、上流から運ばれて来る清水の自然の尊さに感服するばかりである。「美しい日本」ここにあり!
 その後、上流の魚飛渓(うおとびけい)へと向かう。時間の制約により、川へ降りることはなかったが、道路から見下ろす緑青色の川は、何処を切り取っても自然の美である。
 銚子川の後は、入之波温泉山鳩湯へ。ここは、人気の温泉で、湯舟は、内も外も満員であった。土色の湯が特徴で、山の中の一軒湯。実に風情がある。
 二日目は、日本の貴重な自然の美に感動し、これを後世に伝えてゆくことの重要性を学んだ。日本には、美しい山、川、海があり、この天然の心の財産を失ってはいけない。
 川遊びと海水浴は、山坂達者講座で初めての試みであった。いずれも、道具を使わない身体一つの原始的、真剣な遊びであり、座学では学ぶことができないことを山坂達者講座で学ぶ。知行合一の完成形である。健全な肉体と健全な精神は一なるものでなければならない。塾もまた進化は続く。
 銚子川流れの速き清流に心奪われとき経ちぬ哉       文責:去稚敬天塾 塾長三木一之