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活動の紹介

山坂達者講座

第7回山坂達者講座 八ヶ岳の感想

令和になって2回目の山坂達者講座は、長野県から山梨県にまたがる八ヶ岳に向かった。今回は、初めて登山計画を作成した。事前に交通のアクセス、山の情報をいつも以上に集めたことで、登山とは、ただ山に登るだけではなく、計画から帰宅するまでが登山なのだと実感した。また、計画がとんとん拍子に進むほど自然は甘くないと思い知った。
八ヶ岳へは、新幹線を利用した後、タクシーで登山口へ向かった。八ヶ岳は近年、登山客も増え、レジャースポットとしても賑わっていたため、登山口も登山客で溢れかえっていた。一日目は、行者小屋までの3~4時間程度の工程だった。初めて先頭を歩いたが、張り切ってペースを上げすぎたことで、途中でバテてしまった。先頭を歩くときは、次のポイントまでの時間、1日の工程、自分とメンバーの体力とペースを考えて歩かないといけないと学んだ。
行者小屋に到着したのは15時30分頃だったが、一面テントで埋め尽くされていて、場所を確保するのに時間がかかった。年々、テント泊をする人は増えてきているようだ。一日目の夜ご飯は、ウインナー、ハンバーグ、パスタ、とまるで山の中にポツンと洋食屋さんが現れたかのように豪勢な食卓だった。
二日目は、阿弥陀岳に登ってから、赤岳、横岳、硫黄岳を縦走して本沢温泉に向かった。阿弥陀岳へは、ザックを途中の中岳のコルでデポ(英語でデポジットは預けるという意味で、省略してデポという)してサブザックで登った。阿弥陀岳の頂上からの見渡しは絶景そのものだった。北、中央、南アルプス、富士山が全て一望できる場所は滅多にないであろう。空が晴れ渡っていたのも幸運だった。北アルプス、富士山に行ったことを思い出して眺める景色は自分だけの景色であり、人それぞれ見ている景色が違い、またここに立つ自分も違う景色を見ているのだと思う。景色に見とれていると、突然カモシカがぬるりと姿を現した。野生の動物を間近に見れることは滅多にないことであり、幸運が重なった。カモシカは人に慣れているのか、慌てて逃げることはなく、ゆっくり山を下っていった。阿弥陀岳の余韻を残しつつ、赤岳に向かった。赤岳までは岩場やはしごがあり、富士山のように行列ができていた。塾長が昔アルバイトをしていた赤岳の小屋は、とても綺麗な小屋だった。学生時代に山小屋でアルバイトする経験をしたかったと羨ましく思った。赤岳の山頂を堪能した後は、横岳、硫黄岳に向かった。八ヶ岳の特徴の1つであるが、縦走すると登山のスタイルが変化する。阿弥陀岳、赤岳、横岳、硫黄岳、天狗岳、それぞれ山の形質が異なり、景色も一変するのはとても面白い。硫黄岳には、爆裂火口と呼ばれる噴火の後である切り立った崖があり、道は砂利のような地質に変わる。
硫黄岳の頂上に到着すると、頂上の看板の前に人が座っていた。少し考えればそこに座ることが良くないことは分かるはずだが、普段の生活においても自分のことしか考えていない自己中が多くなってきていると感じる。
硫黄岳からは、本沢温泉に向かった。計画では、ぐるっと回ってから本沢温泉に向かう予定であったが、時間と体力は思い通りにいかないものである。次に八ヶ岳の計画を立てる時には、今回の計画を無駄にせずに新しく計画を煮詰めたいと思う。本沢温泉は、2000m程の場所にあり、1000mほど山を下ることになる。日本で一番高い野外の天然温泉があるのが本沢温泉であり、縦走の途中でお風呂に入れるのは、八ヶ岳以外ないであろう。2日縦走した後の天然の温泉は至福の時。今までの温泉でこれほど解放感のある体験をしたのは初めてだった。その後のビールはもう格別であった。山で生ビールをジョッキで飲めるのもそうそうできない体験であろう。最終日は、天狗岳まで登り、下山して帰宅する。最終日の天気はあまり良くはなく、雨が降っていた。天狗岳へは下山してきた分をそのまま登り返すため、かなり急こう配になっていて、三日間の縦走で一番体力を消耗した。雨が降っているか降っていないかでは、登山のペースに大きな差が生じる。天狗岳の頂上は風が強く、霧で真っ白になっていた。天狗岳の周辺は大きな岩で埋め尽くされていて、雨が降ると滑りやすくなりとても危険である。今回は一度もこけずに完走しようと思っていたが、ここに来て何度も滑って転んだ。歩き方をもう少し修正していこう。
最後は、渋の湯温泉で疲れを癒した。渋の湯は、武田信玄のゆかりの秘湯としても有名で、特に熱々の温泉に入った後の天然の水風呂は、疲れを一気に吸い上げてくれるような自然のエネルギーを感じた。
久々の縦走であったが、やはり、重い荷物を背負って山を登ることは過酷である。しかし、重たい荷を持って登ってこそ登山であると思う。
過酷で辛いのが9割、それが山登りであり、それを乗り越えた先にある1割は頑張った者しか味わえない感動がある。

塾生 樋浦優人

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