第8回 令和2年山坂達者夏季講座―沢歩き体験講座
令和2年8月15日比良・白滝谷に於て 参加者:吉川事務局長、樋浦塾生、三木塾長
久々の沢歩き。猛暑の都会を離れて、自然のシャワーを浴びることは、やはり愉快である。沢歩き体験講座として、比良の白滝谷を選択、JR新大阪駅から敦賀行き新快速に乗車、堅田駅にてバスに乗り換え、坊村に到着した。沢靴、ヘルメット、簡易ハーネスを装着し、牛コバの辺りから渓流を上る。水量は、愉しむのに充分であり、水は濁りもなく、時折透き通った小さな窯に誘われる。前方、岩の合間から噴き出す水飛沫に向かいながら、足場を探り、岩をよじって上方へと身体を引き上げる。沢では、身体全体を使って、上流へと進んで行く。沢全体の形状を頭に入れて、進むルートを選択、出来るだけ水量の多い箇所へと突っ込む。身体が沢に接触している、その時間が長ければ、沢を愉しんでいることになる。敢えて、水を避けない。娯楽とは言え、自然と直接向き合うのだから、事故や怪我に対しては、細心の注意を払わなければならない。お山に対する畏怖心を忘れてはならない。渓流は、お山が形作る天水の通り道。だから美しい。人間が造ったものでは、これほどの変化を展開することはできない。暑さとは無縁の沢で、一息ついて飲む飲料水もまた格別である。沢歩きをしていると、時の経つのが速い。ぼおっとしているときがないからだろう。緊張と緩和が心地よく続き、のどの渇きも忘れてしまう。ここでは、焼けつくような都会のアスファルトが空想の世界でしかない。まだ先は長いと思っていたら、眼前に立派な滝が、夫婦滝の勇壮で美しい光景が現れ、今回の沢歩き体験講座の終着点に到着した。
この沢で、暫し手作りの漬物(ピーマン、ゴーヤ、ニンジン)を添えた昼食を愉しんだ後、登山道を下山、入渓地点を通過し、坊村でバスを待った。
距離は短かったが、沢歩き体験としては、その内容は充実していたと言える。沢登りをするには、ザイルやカラビナ等の装備と技術を要する。当塾の能力を超えるものであり、私自身、岩トレから随分遠ざかっているのだから。9月は、剱岳登山を予定している。
塾長 三木一之