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活動の紹介

座学

第三十三回講座 非理法権天に学ぶ忠臣蔵

大阪市立阿倍野市民学習センター あべのベルタ3階 和室
2020年2月15日 13時30分~16時30分
講師:塾長 三木一之

 理は非に勝り、法は理に勝り、権は法に勝り、天は権に勝る。(令和元年11月16日講座に記述あり。)江戸時代の儒学者による赤穂浪士事件(忠臣蔵)の論争から学ぶ。是か非か、賛否両論。武士道に適うのは、仇討か?御家再興か?大石良雄(内蔵助)の江戸幕府への「嘆願書」は、太平の世に失いつつある「君臣の義」を顕在化したものである。儒学者佐藤直方(朱子学山崎闇斎の弟子)は、「四十六人之筆記」の中で、「権謀を以てなし、忠義を主とし、惻怛(そくだつ、痛み悲しむ心)の情より出たるものに非ず。」と述べており、仇討を理詰で批判している。この思惟は、「非理法」に留まるものであり、「権天」に及んでいない。将軍徳川綱吉の裁定「権」に踏み込まなければ、赤穂浪士事件を論じたことにならない。三宅尚斎(山崎闇斎の弟子)は、「重固問目」で佐藤直方への批評を行い、佐藤直方はこれに反論している。また、浅見絅斎(けいさい、山崎闇斎の弟子、佐藤直方・三宅尚斎とともに崎門三傑)も、「赤穂四十六士論」で佐藤直方への鋭い批判論を展開している。浅見絅斎は、「靖獻遺言(せいけんいげん、平成29年10月21日講座第一部)」を著した人物であり、山崎闇斎が最も重んじる「君臣の義」を主張し、治世にあって、乱世を識る儒学者である。いずれにせよ、この論争は、現在の実社会においても熟考に値する。

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