第9回 令和3年 秋季山坂達者講座
令和3年11月20日比良 参加者:三木塾長、吉川事務局長、樋浦塾生
【記録】
比良駅 9:10 →イン谷口 9:45 →釈迦岳 11:58 (昼食)12:26 →カラ岳 12:40 →八雲ヶ原 13:25 →金糞峠 15:35 →イン谷口 16:46 →比良駅 17:19
比良の山に登るなら、イン谷口から大津ワンゲル道が心地良い。近頃、私のお気に入りのルートである。鬱蒼とした林の中に足を忍ばせて行く、その始まりが何とも妙味である。所々で倒木を跨ぎながら、見通しのない山道を進む。暫くすると、左右の木々に囲まれた遊歩道に出くわし、さらに紅黄葉が艶やかに出迎えてくれる。高度差を感じないままハイキング気分に浸っていると、石垣が現れ、上方には大きな岩石、足元には花崗岩が砕けた砂石が山の斜面を覆っている。恐らく土砂崩れを防ぐための石垣であろうが、この辺りの地形が山城であったかもしれないと空想させる。
JR比良駅を出発してから1時間30分程経ったところで、小休止。大津ワンゲル道は、3分の2が緩やかで、3分の1が登山を味わえる。距離があり、歩を進めるにつれ変化して行く地形に飽きることがなく、比良の登山ルートでも特異である。約2時間20分経過して、難所の始点に着いた。虎ロープが張られている傾斜の強い岩場を登る。朽ちた枝や根、さらに剥がれ易い岩を確かめながら、腕と脚力を使って、身体を引き上げては押し上げて行く。距離は短いが、愉しむことができるお気に入りの箇所である。この難所を過ぎると、なだらかな道が開け、第一の目的地である釈迦岳の頂上に到着。見晴らしの良くない頂上のため、登山客の姿はまばらである。簡単な食事を終えてカラ岳、八雲ヶ原へと向かった。
八雲ヶ原から武奈ヶ岳を目指す直登ルートは、スキー場の上級者ゲレンデ跡で、持ち込まれた石灰岩の残石が土に張り付いている。大津ワンゲル道を経ると、この直登が良いトレーニングになる。このルートは、勾配の異なる3段の斜面になっており、2段目の傾斜が体力を消耗させる。3段目の斜面を登り切ると視界が拡がり、爽やかな風を感じることができる。そして、再び林の中へと踏み込んで行く。ここから、武奈ヶ岳頂上まであと一息。イブルギのコバを経由する登山道との分岐に達すると、目前に、頂上に立つ人々の姿がはっきり視認できる。しかし、今回は、残念ながら時間制限を越えているため、ここで下山することにした。
下山ルートは、イブルギのコバを経由して、八雲ヶ原、そして、谷筋から金糞峠、青ガレを下った。青ガレは、落石の危険性が高く、足の疲れも頭に置いて、細心の注意を払って下るため、仕上げの鍛錬に適している。JR比良駅に通ずる直線的農道の途中で、身体を反転させ、登った山に向って、一礼。その頃には、夕焼けが終わりを告げていた。
比良の山には、20年来、春夏秋冬入山しており、100回を超えている。私にとって、比良は、沢、雪山、無積雪と一年を通じ、トレーニング場として最適であり、実に有難い御山である。
次回の山坂達者講座は、比良の雪山を予定している。
比良の山 飽きることなく 四時変化 塾長 三木一之