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活動の紹介

山坂達者講座

第9回 令和3年11月 山坂達者講座

 晩秋の比良山はところどころに紅葉が残り、特にイン谷口近くの山道は紅い紅葉の絨毯のようであった。今回の登山は大津ワンゲル、釈迦岳、八雲ヶ原、武奈ヶ岳、金糞峠、青ガレを歩く起伏に富み距離も長いコースである。
 このコースを登ることを決めた数週間後、天候も落ち着き、自粛規制も緩くなったので山歩きを4カ月ぶりに再開し、また体全体のトレーニングのために数年前に行っていたクライミングも再開した。土曜日に山歩き、日曜日はクライミングと充実した土日を過ごし、体力も徐々に回復し大津ワンゲルを歩く体の準備が出来つつあった。そのような時に、クライミングジムに備えていたスラックラインに挑戦し、楽しさのあまりに長時間行ってしまった。体を動かせていなかった状態で急に山歩き、クライミングそしてスラックラインを行ったために、アキレス腱付着部症(アキレス腱の炎症)を起こしてしまい3週間の運動禁止となった。その3週間後の日が大津ワンゲル登山の日であった。
 アキレス腱の炎症は徐々に回復をしてきたが散歩位しか行えず痛みがほぼ無くなったのが登山の3日前であった。大津ワンゲル登山に行くか否かを逡巡していたがアキレス腱付着部症となったのは初めてのことで歩いて見なければ炎症の回復程度も分からないと思い歩くことにした。ただ、歩くことが無理になった時は、途中離脱を行うことの許可を得たうえである。
 登山当日は歩き始めてから1時間30分くらいはアキレス腱に違和感と少しの痛みがあり「無理かな」の思いと「慣れるかな」の思いが交互に巡っていた。そんなことを思いながらも風景や会話を楽しむと同時に、歩く時の踏み込み方を工夫したことでほぼ痛みなく普段と同じ程度に歩けることになり離脱することなく山坂達者講座メンバーとともに登山を終えることが出来た。
 今回の一連の出来事で学んだことが2つある。1つは「当たり前」の生活の大切さである。歩くという普段の動作、咄嗟の動きへの対応など、体の1部に障害を持ったことで普段気にしていないことがクローズアップされた。息をする、音を聞く、味わう、言葉発するなど「当たり前と思っている(健康な時は思っていない)」全てに通じる。話を広げれば「当たり前と思っている平和な日本」も同様である。2つは「自分の体との付き合い」である。1に続く内容となる。年齢とともに体力、筋力の衰え、腱が固くなると聞いていたがまだ大丈夫と気にすることなく過ごしていた。腱の炎症が起きた原因の1つである。老いるというのは自然の摂理でありそれを理解し、年齢とともにケアをするストレッチに多くの時間をとるなどメニューを変えて行き自分の体と上手く付き合うことである。1つ目と同様話を広げれば「平和な日本」を維持するには、その時に応じたケアが必要である。

事務局長  吉川貴志

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